官位ランキング
そもそも人間はランキングが好きなのかと思う。昨日の「勅撰入集ランキング」に続いてまたもランキングネタだ。本日は「官位」である。今風に申せば公務員の序列とでもいうのだろうか。宮廷内における出世の度合いだ。女性がごっそり抜けるのが最大の弱点であるほか、任命する側の天皇を始めとする皇族も、この尺度が通じない。さらに武士の世の中になると意味合いも変わってくる点を考慮してもなお興味深い。最初に任命される官位は参考にならない。出世を遂げた後、没する直前か直後あるいは後世の追贈を含めた最終官位こそが見どころとなる。
「令和百人一首」採用の歌人についてランキング化を試みる。
<贈正一位>死後の認定には「贈」の文字が冠せられる。
- 足利義尚4、織田信長75、徳川光圀89、徳川斉昭90
<従一位>生前に登れる位階としては、ほぼ最高位。まあ総理大臣か大統領か。
- 藤原道長27、九条良経28、足利義満65、足利義政66、豊臣秀吉77
<正二位>重要閣僚クラス。
- 源実朝43、藤原定家50、藤原爲家51、京極為兼54、二条為世55、冷泉為相56、飛鳥井雅親99
<贈正二位>
- 細川幽斎80、勝海舟96
<従二位>重要閣僚クラス。
- 大伴旅人12、藤原実定14、藤原家隆38、森鴎外97
<贈従二位>
- 楠正行62
<正三位>
- 在原行平17、藤原顕季20、藤原俊成49
<従三位>ここまでが閣僚か。
- 大伴家持13、源頼政30、蒲生氏郷79、徳川宗武83
<贈従三位>
- 大内政弘71、本居宣長86、西郷隆盛95
<正四位上>
- 平忠盛31、井伊直弼91
<正四位下>
- 源義家29、冷泉為景84
<贈正四位>
- 佐久間象山88
<従四位上>
- 在原業平18、藤原敏行19、源俊頼22、平忠度32
<従四位下>
- 木下長嘯子78
<贈従四位>
- 伊能忠敬87
<正五位下>
- 平行盛33
<従五位上>
- 紀貫之21、北条氏康72
<従五位下>
- 吉田兼好60、東常縁68、織田信孝76
以上。概ね三位以上が貴族ということになる。こちらも相当興味深い。室町以後では尺度が変わっているのもよくわかる。加えて源実朝の位置づけは時代を考えると武士として相当異例だとわかる。昔も今も出世は自分事でも他人事でも大きな関心事だったから、この話題も酒の肴にちょうどいい。
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