もののふの歌
「もののふ」とは武士のことだ。和歌は貴族社会の象徴とも見えるが、武士だって和歌をたしなんだ。朝廷との交渉にあたっては必須の知識にもなっていたからだ。「令和百人一首」にも武士の歌が25首収載されている。武士の歌の濃度は選定にあたっての一つの課題だった。小倉さんちでは源実朝ただ一人だ。小倉以降明治までを見据えると武士を無視するわけにはゆかない。さりとて著名な武士の辞世だらけというのもいかがなものかと悩んだ。実朝を別格とすれば「源平の武将」「戦国武将」「室町将軍」くらいに分類できよう。都に居ただけあって室町将軍たちはみなそこそこの歌人たちである。義満、義政、義尚の3名に絞ったが無念の落選もあった。頼朝、尊氏、家康の初代三名も涙を飲んだ。武田信玄と上杉謙信、毛利元就あたりも残念だった。
和歌史と日本史のバランスは、難しかった。
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