暗記チャレンジ
10歳で「小倉百人一首」を暗記した。思うに「軽々」だった。作者、意味、背景は完全無視の呪文状態。初句を言われて下の句までスラスラという形態だった。中学に入るまでには作者と紐付いた。「鎌倉右大臣」が源実朝のことだと知った日の喜びは今も鮮明だ。
この度還暦を機に発意した「令和百人一首」の裏の目的は、自分の脳味噌の訓練だった。小倉暗記から50年を経た脳味噌が「令和百人一首」を暗記できるかというチャレンジである。結果から申すなら、あっけなく暗記できた。暗記の形態は「三角暗記」とでも申せよう。「作品」「作者」「歌番号」の3点セットで、どれを言われても残り2つを言えるというのがゴールであった。
キーは歌番号だ。自ら選定配列した「令和百人一首」の歌番号なのだが、まずこれと歌人が真っ先に紐付いたことで暗記がみるみる進んだ。やってるあいだは「歌番号」などと思わずに「背番号」だと感じていた。歌人に付与したゼッケンである。「1王貞治」「3長島茂雄」「51イチロー」さらに「14クライフ」「5ベッケンバウアー」「10ジーコ」とくれば何故暗記が容易になるか説明不要だ。
50年前の丸暗記とは味わいが違う。収載の100首に加え落選側の歌もかなり暗記がすすんだ。
和歌はそらんじていてこそ意味がある。喜怒哀楽、絶景に美味など人生のスパイスに接したとき、ふさわしい歌を瞬時に思い出せるのは心豊かになる。その引き出しが還暦過ぎに増えたことは本当に意義深い。ブラームスやバッハの作品と同類である。
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