穂虫と履に物真似
「ほむしとくつにものまね」だ。なんかのおまじないにしても奇妙だ。これは小倉百人一首でいうところの「むすめふさほせ」にあたる。
- 村雨の露もまだ干ぬ槙の葉に霧立ち昇る秋の夕暮
- 住之江の岸に寄る波夜さへや夢の通い路人目よくらん
- 巡り合いて見しやそれともわかぬ間に雲隠れにし夜半の月かな
- 吹くからに秋の草木のそいるればむべ山風を嵐といふらむ
- 寂しさに宿を立ち出でて眺むればいづこも同じ秋の夕暮
- ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞ残れる
- 瀬を早み岩にせかるる滝川の割れても末に逢はむとぞ思ふ
読み手が一文字目を発音した瞬間に下の句を記した取り札に殺到出来る歌だ。各々の歌いだしの文字を順につなげると「むすめふさほせ」となる。
これを我が「令和百人一首」でやってみたら「ほむしとくつにものまね」となった。
- 時鳥声待つほどは片岡の杜の雫に立ちや濡れまし
- 昔より主を内海の野間なれば報いを待てや羽柴筑前
- 七十に近き春にぞ相の浦九十九の島に生きの松原
- 時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨止め給へ
- 梔子の一つ一入染の薄紅葉いわでの山はさぞしぐるらん
- 露と落ち露と消えにし我が身かな難波のことも夢のまた夢
- 庭の面はまだ乾かぬに夕立の空さりげなく澄める月かも
- 百伝ふ磐余の池に鳴く鴨今日のみ見てや雲隠りなむ
- 野辺よりも思へば深き哀れかな移す虫籠の夕暮れ声
- まだき散る花と惜しむな遅くともついに嵐の春の夕暮れ
- 願わくは花の下にて春死なむその如月の望月の頃
以上だ。実際にカルタ取りされることがあるとは思えないがお遊びとして優秀だ。小倉側3番と令和側1番が同一人物・紫式部さんのグッドジョブである。
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