押すより引く
「脳内補正語」第10弾。
「令和百人一首」7番目のお歌。「吾を待つと君が濡れけむ足引きの山の雫にならましものを」
第三句「足引きの」は、山を導く枕詞として名高い。「足引き」が何故山にかかるのかもはや不明らしい。古典の授業では「訳不要」などと無残なことを教わるが整調の意味は大きい。
さてその中にある「引き」が大好きだ。「足引き」の他では何といっても「棚引き」だ。「霧」「雲」「霞」が棚引きの御三家かと。他には「裾引き」など。小倉収載の実朝のお歌にある「綱手」も引くものだし、海ではしばしば潮も引く。女子は毎日、眉も紅も引く。
比べて「押す」は影が薄いように思われる。和歌の世界の用語分布の正確なところは知らないが、直感として「引く」優勢な気がする。
私はと言えば、いつも皆からドン引きされている。
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