関はゆるさじ
「脳内補正語」第15弾。
- 旅人は袂涼しくなりにけり関吹き越ゆる須磨の浦風
- 吹く風を勿来の関と思へども道も狭に散る山桜かな
- 清見潟まだ明けやらぬ関の戸を誰許せばか月の越ゆらむ
いずれも「令和百人一首」収載の歌で、「関」が詠みこまれている。「関」は「関所」だ。主に治安維持のために人々の通行が制限された。夜間は通行止めであった。そうした制約に対して風や月が自由であるという感慨が読まれることが多い。関のあちら側は別世界であるという感慨も込められている。恋の歌では男女の一線の意味をも具備するし、都と近江の境界は「逢坂の関」という地名もあってさまざまにイメージが膨らんだ。
50年前、10歳の私が百人一首暗記に挑んだとき、最初に覚えたのが清少納言だ。「夜をこめて鳥の空音ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ」であるから、関との付き合いは相当長い。
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