チェンバロあらためピアノ
時折「バッハがピアノのために作った作品はない」などという指摘が見られる。今普通に接しているピアノが出現するのは19世紀だから、バッハはすでにこの世にいなかったからだ。バッハの時代の鍵盤楽器はチェンバロだ。クラヴィコードもあった。でも断じてピアノはない。
だからというわけではないが、我が家のCDコレクションはチェンバロが多い。特にブランデンブルク協奏曲の5番などはピアノで弾かれたら感じが出ないと思っていた。そうした認識の例外がグールドだ。
何故かグールドだけはすっと入ってきた。独奏曲はもちろんヴァイオリンやガンバとのアンサンブルだってなんだかなじめた。
とりわけピアノ協奏曲だ。原曲は何らかの独奏楽器による協奏曲をチェンバロ用に編曲したものだ。ヴァイオリン協奏曲ホ長調からの転写3番ニ長調、同イ短調からの7番ト短調は、ヴァイオリン協奏曲の形で何度も聴いているから、ピアノ独奏への転写っぷりが楽しみの一つになっている。ヴァイオリン1本の独奏では聞こえてこなかったオブリガートが鮮明に浮きあがることが珍しくない。
« リハビリ替わり | トップページ | ハミング最高峰 »
コメント