母方の祖母
私の母の母、つまり母方の祖母の話題だ。もうすで他界している彼女の名前は「むめ」という。私が小さい頃とてもかわいがってもらった。もちろん明治の女だが、子供心に変な名前だと思っていた。母に由来を聞いても「はて」と言うばかりだった。還暦を記念する「令和百人一首」選定の過程で古語に親しむ中から意外な、そして劇的なオチにたどり着いた。
「むめ」はどうも「梅」らしい。学校のテストだったら「うめ」と書かねばならぬのだが、古くは「むめ」と標記したらしい。源実朝のお導きだ。
- 出で去なば主無き宿となりぬとも軒端の梅よ春を忘るな
- 君ならで誰にか見せむ我が宿の軒端に匂ふ梅の初花
どちらの実朝の作。1番は辞世と伝わる。2番は紀友則の本歌取りだ。実朝は梅を愛した。それだけで十分だ。生涯の歌人と奉るにふさわしい因縁ではないか。
そうそう、源実朝は後鳥羽院の一回り遅れのねずみ年。そして私も。
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