さすが本場
「ボヘミアのバッハ」ことゼレンカの代表的な室内楽が「6つのソナタ」だ。
- ヘ長調
- ト短調
- 変ロ長調
- ト短調
- ヘ長調
- ハ短調
調性のバランスが考慮されていない感じがかえって新鮮だ。たった6曲なのに同じ調が2組もある。フラット系の調ばかり6曲が並ぶ。
1955年に初めて出版されて脚光を浴びた。バロック時代の代表的曲種「トリオソナタ」は「ソプラノ音域」の旋律楽器2つに、通奏低音と決まっている。通奏低音は、奏者が1名と決まっているわけではなくて、チェンバロを中心に、チェロ、コントラバス、ファゴット、ガンバ、テオルボなどから1つまたは2つ以上が参加する。旋律楽器は、おおむねヴァイオリン、オーボエ、フルート、リコーダーの中から適宜だ。起用楽器は演奏者の判断である。
それでもまあ、オーボエ奏者ハインツ・ホリガー版のCDがスタンダードな位置にあった。
このほどうれしい発見があった。チェコの団体「プロアルテアンティクアプラハ」の演奏だ。先般の記事「Pro arte antiqua praha」で、彼らの演奏するパッヘルベルの室内楽の素晴らしさに言及したがゼレンカもまた魅力的だ。パッヘルベルで聴かせてくれた水もしたたるばかりのヴァイオリンの音色が、また再現される。こりゃあまぐれではない。特筆すべきは彼らが採用する編成だ。ヴァイオリン2本と、チェロとチェンバロだ。
旋律楽器2本にヴァイオリン2本をあてがうとは。ホリガー版に慣れた耳にはとても新鮮だ。でも本当にヴァイオリンが美しいから、ほどなくオーボエのことなんか忘れてしまう。
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