さまざまな演奏形態
ヴィオラダガンバのためのソナタ3曲は、ヴィオラダガンバとチェンバロの二重奏という見た目になっている。実は元々はトリオソナタが原型だ。近い音域の独奏楽器2つと通奏低音の3つ。必ずしも3名の奏者だという訳ではない。通奏低音がチェンバロとチェロになることもあり、このときは4名の奏者が集う。
バッハのガンバソナタは「チェンバロとヴィオラダガンバのための」作品なのだが、チェンバロの右手が旋律楽器としてみなされ、従来の通奏低音はチェンバロの左手にゆだねられている。だから奏者は2名なのに成り立ちはトリオになっている。この構想はバッハの独創であると言われていて、やがて「二重奏ソナタ」として古典派以降開花することになる。
さてさて、そこで用いられる楽器「ヴィオラダガンバ」と「チェンバロ」は、今でこそいわゆる「古楽器」ブームにのって脚光があたっているが、19世紀には衰退の憂き目にあっていた。
19世紀後半のバッハルネサンス以降、バッハの作品が次々と再評価される中、衰退した楽器の代替が試みられた。「チェンバロ」の代替は申すまでもなくピアノだ。一方のヴィオラダガンバの代替にはチェロが大勢を占めた。稀にヴィオラが用いられる程度だ。
LPレコードの時代、これらソナタはチェロとピアノというカップリングで録音された。我が家所有のCDを演奏形態別に分類すると以下の通りになる。
- ヴィオラダガンバとチェンバロ 6種類 本来の形態
- チェロとチェンバロ 8種類 5弦チェロ含む
- ヴィオラとチェンバロ 6種類
- チェロとピアノ 5種類
- ヴィオラとピアノ 1種類
- ホルンとピアノ 1種類
- ヴィオラダガンバとオルガン 1種類
- チェロとオルガン 1種類
- コントラバスとオルガン 1種類 ゲーリー・カー版
- チェロとアコーディオン 1種類 藤原真理版
- チェロとギター 1種類
- ヴァイオリンを含むトリオソナタ版
いやはや多彩である。楽器の組み合わせにより味わいが大きく変化する。
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