奇特なソリスト
ジュリアーノ・カルミニョーラはイタリアのヴァイオリニスト。ビオンディとならぶイタリアンバロックヴァイオリンの泰斗だ。
彼の演奏するバッハのヴァイオリン協奏曲集のCDが手元にある。イ短調、ホ長調、ドッペルニ短調の定番3曲に加えて、BWV1056とBWV1052がおさめられている。全体に切れ味を感じさせる演奏だ。
このうちの「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043で奇妙な現象が起きている。本ディスクの主役カルミニョーラが独奏ヴァイオリンの2番を受け持っている。独奏ヴァイオリンの1番は、バックのオケのコンミスが受け持つというしくみだ。ライナーノートによれば、コンミスつまりこの女性はカルミニョーラの弟子だと書いてある。
昔、娘たちがヴァイオリンのレッスンでこの曲に取り組んだとき、先生が「2番の方が難しい」とおっしゃっていたことを思い出した。なのに我が家のコレクションは全て主役のヴァイオリニストが1番を受け持っている。カルミニヨーラだけが例外だ。無論このレベルのヴァイオリニストにとって同曲のソロパートの難易度が問題になるはずもないから、カルミニョーラの選択は一定の見識の表れに違いあるまい。そのつもりで聴くと2番の入りとかわくわくするから不思議だ。
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