チェンバロ側の事情
バッハの「チェンバロのための協奏曲」、独奏するチェンバロの台数は1から4までとさまざまながら、何らかの独奏楽器のための協奏曲をバッハ自身がチェンバロ独奏に編曲したものだ。それらをBWV番号、調性、オリジナルの調性、オリジナルの楽器の順に以下に列挙する。
- BWV1052 Dmoll←Dmoll ヴァイオリン
- BWV1053 Edur←Fdur ヴァイオリンorオーボエ
- BWV1054 Ddur←Edur ヴァイオリン
- BWV1055 Adur←Adur オーボエダモーレ
- BWV1056 Fmoll←Gmoll ヴァイオリン
- BWV1057 Fdur←Gdur チェンバロと2つのリコーダー
- BWV1058 Gmoll←Amoll ヴァイオリン
- BWV1059 Dmoll 断片 オーボエ
- BWV1060 Cmoll←Cmoll ヴァイオリンとオーボエ
- BWV1061 Cdur オリジナルなので原曲なし
- BWV1062 Cmoll←Dmoll 2つのヴァイオリン
- BWV1063 Dmoll←? オーボエ/ヴァイオリン/フルート
- BWV1064 Cdur←Ddur 3つのヴァイオリン
- BWV1065 Amoll←Hmoll 4つのヴァイオリン
不思議なことがある。上記赤文字で記した部分は、編曲にあたって2度下の調に移調されている。オリジナルと断片をのぞく12曲のうち7曲が2度下への移調ということだ。9番の「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」も原曲の調性については論争があり、「ニ短調」がオリジナルであったとする学者もいる。
元の独奏楽器はさまざまなのに、「2度下への移調」ばかりになっているのだから、これらはチェンバロ側の事情カモと推測する。
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