Sleeper's Awake
バッハ作カンタータ140番「目ざめよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140の通称だ。三位一体節後第27日曜日のためのカンタータだ。この「三位一体節後第27日曜日」というのが厄介だ。この祝日は教会暦上で一年最後の祝日なのだが、発生しない年もあるので順に説明する。
- 三位一体節は、復活祭の後第8日曜日と決まっている。
- その復活祭は、春分以降最初の満月の日の後の、最初の日曜日。
- 復活祭は年によって変わり、1か月程度幅があるので、当然三位一体節も変わる。
- 待降節は、11月30日に近い日曜
- 三位一体節後第27日曜日が、待降節より後になってしまう場合には設定されない。
- 三位一体節後第27日曜日は復活祭が3月26日より前だった年だけに存在する祝日である。
つまりあったりなかったりのレアな祝日だということだ。「春分の日3月21日から3月26日までの間に満月の日と日曜日がこの順で両方存在する」という厳しい条件になる。春分の日は3月21日固定とされて、26日とのわずか5日の間に、満月と日曜日がこの順で収まる必要がある。
バッハはそのレアな祝日のために1723年のトマスカントル就任から8年待った。待っただけのことはある傑作がカンタータ140番「目ざめよと呼ぶ声が聞こえ」BWV140。1731年の三位一体節後第27日曜日のために作曲されその年に初演されたとわかっている。ちなみにバッハがトマスカントル在任中「三位一体節後第27日曜日」が存在したのは、1731年と1742年の2回だけだから、どれだけレアかわかる。
初演はその早いほう1731年11月25日だ。テキストは花婿の到着を待つ花嫁の準備の比喩で、用意周到を奨励する寓意を含む結婚話である。
亡き妻との結婚披露宴には大学オケの仲間が祝典合奏団を組織してかけつけ、BGMを生演奏したのだが、開宴前来賓の入場の際のBGMとして同曲を流した。結婚準備をモチーフにしたコラールだから披露宴にピッタリだと私が選んだのだが、披露宴が1731年11月25日の初演からピッタリ259年後というのがセールスポイントでもあった。昔からおバカだった。
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