楽器の法王
かつてピアノを楽器の王様と認定しながら、人の声の優秀さを話題にした。ところがメンデルスゾーンは、オルガンを「楽器の王様」と断言しているらしい。
このところバロック特集を展開する中で新たな考えが浮かんだ。オルガンには発音後の減衰を伴わぬというセールスポイントがあるし、歴史は控えめに見積もってもピアノの数倍はある。
かといって、「楽器の王様」の称号をピアノから剥奪するのも乱暴だと思い一計を案じて良いことを思いついた。オルガンを「楽器の法王」に認定する。単に「王」だと俗界のトップという感じがするが、「法王」だと聖界の長というニュアンスがこもる。「皇帝」となると「王」より上っぽくてややこしい。オルガンの来歴を考えると、信仰と密接不可分だ。「法王」という提案にはその含みもある。
「オルガンのイメージはどうみてもプロテスタントでしょ」という突っ込みを受ける覚悟だけは出来ている。「法王」というとローマに住んでいるイメージがあるけれど、「楽器の法王」は是非ともリューベックかハンブルクにお住まいいただきたい。
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