2枚組の効果
記事「ストラダール」で話題にしたCDのお話。
ブランデンブルク協奏曲のピアノ独奏編曲盤だ。これだけで相当珍しい。細かい内容の話をすると2枚組になっている。ブランデンブルク協奏曲全6曲のうち5番までがディスク1に収録されているからディスク2は6番から始まる。6番大好きの私からすれば大歓迎の割り付けだが、こうなると6番の後には広大な余白ができる。
この余白に収められているのもバッハ作品のピアノ編曲で、元のバッハ作品は下記の通りだ。
- チェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052
- チェンバロ協奏曲第5番ヘ短調BWV1056
- オルガン協奏曲第2番イ短調BWV593 (ヴィヴァルディ:op3-8)
- オルガン協奏曲第4番ハ長調BWV595
- オルガン協奏曲第5番ニ短調BWV596 (ヴィヴァルディop3-11)
上記1番と2番はチェンバロ独奏に弦楽器の総奏がつくのだが、ソロに加えて総奏部分もろともピアノ独奏に編曲するというコンセプトだがら「無伴奏チェンバロ協奏曲」のピアノ転写だ。ストラダールの編曲ではブランデンブルクの6番はおとなしいほうで、ディスク2は進むほどに超絶技巧になっていく。ブゾーニのシャコンヌピアノ編曲に感じた「大げさ感」が思い起こされる。
19世紀は、ピアノの時代。音楽の担い手が、宮廷や教会から市民に移っていく過程で、ピアノが家庭に浸透していく。おびただしい数のピアノ作品が生まれたことは周知の事実で古今東西さまざまのクラシック作品において、ピアノ編曲版には連弾を含めてかなりな需要があったには違いないが、これを弾きこなす層が本当にあったのか心配になる。ブラームスなら絶対に望まないはずの演奏効果。
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