両手と足のためのトリオソナタ
なんという発想だろう。オルガンに足鍵盤があるという一点から広がる着想。右手と左手に加えて足を使うというオルガンの特徴を生かし切るとはこういうことだ。バロック時代の室内楽の代表格であるトリオソナタは通常4名の奏者を必要とするのだが、これらを一人のオルガン奏者で達成してしまおうという魂胆だ。これに匹敵するのは、「両手とハミング」のグールドくらいか。
- BWV525 変ホ長調
- BWV526 ハ短調
- BWV527 ニ短調
- BWV528 ホ短調
- BWV529 ハ長調
- BWV530 ト長調
とりわけ楽譜を見ながら聴くと楽しみが倍増するのだが、オルガニストの苦労も透けて見える。ホリガーさんによる室内楽版を聴くと室内楽としての完成度も相当な域にあるとわかるけれど、これを一人でという難しさはまた別格だ。音楽的人格がすべて試される感じ。無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌにも匹敵してはいまいか。
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