シュトックハウゼン
ユリウス・シュトックハウゼン(1826-1906)はアルザス生まれのバリトン歌手。ブラームスの親友で、クララとも親交があった。ピアニストのクララやヴァイオリニストのヨアヒムに声楽で匹敵する大歌手だ。シューベルトの「美しき水車小屋の娘」を初めて公開の席で歌うという栄誉に浴した。これは歌曲集をチクルスという形で演奏する先駆けとなった。加えて1861年にはハンブルクでも同曲集を歌っているのだが、伴奏はなんとなんブラームスであった。かくかくしかじか欧州中で同曲集を演奏して回るのだが、ペテルブルクではアントン・ルービンシュタインが伴奏している。シューベルト歌曲のいくつかの管弦楽編曲をブラームスに依頼し、後に初演している。
リートの分野では19世紀最高のバリトン歌手と申してよい。その証拠にシューマンの演奏でも事情は似ている。いくつかの歌曲で初演の栄誉を担い、1861年にはブラームスを伴奏者に従えて「詩人の恋」を歌った。翌年には同じく「詩人の恋」を、クララのピアノで歌った。
ブラームス唯一の連作歌曲集「ティークのマゲローネのロマンス」op33はシュトックハウゼンに献呈されている他、出世作「ドイツレクイエム」の初演でバリトンを務めたのもこの人だ。
シューベルト、シューマンそしてブラームスの歌曲いずれについても深く濃く関与している。歌曲ネタを連ねる以上、外せない人である。
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