シューベルトの作品1
オリジナルは「Erlkonig」(oはウムラウト)という。ほとんどの日本人にとってシューベルト初体験になるはずだ。中学で習う。私の時は無残な日本語版を聞かされた。
「op1」「作品1」は多くの場合出版デビュー作だ。古典派以降、作品の出版が一般化してくると出版イコール発表になるのだが、作曲順とは必ずしも一致しない。シューベルト作品の体系D番号で申せば328なので、op1魔王に先行する作品が327も存在するということだ。
- 作曲1815年12月
- 初演1821年1月25日
- 出版1821年4月2日
興味深い。若干18歳の作品だ。今年は初演出版から200年というメモリアルイヤーである。語り手、父親、子供、魔王を一人の歌手が演じ分けるという構成。伴奏ピアノにまとわりつく三連符。6個の上行音階は「ます」と一致するが効果は対照的。
テキストはゲーテ。父親に抱かれた子供を甘言で誘う魔王。子供の死という衝撃的なエンディング。けして長くはないのにストーリー上の起伏が大きい。思うに魔王は病魔ではないか。一夜のうちに容体が急変して命を落とす疫病かとも。当時の市民はみな似たような経験があるから他人事ではないということもあってシューベルトの名は広く知れ渡ることになる。
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