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2021年7月30日 (金)

テキストの中の職人たち

ブラームスでは見かけない「漁師」(Fischer)がしばしばタイトルに登場すると述べた 。しかしこれはどうやら漁師に限った話ではないようだ。漁師以外の職業も調べてみた。タイトル中に職業が現れる作品をドイチュ番号の若い順に列挙する。

  1. D44 墓堀人の歌(Totengraber)
  2. D77 潜水者(Taucher)
  3. D121 羊飼いの嘆きの歌(Schafer)
  4. D149 歌びと(Sanger)
  5. D163 歌びとの朝の歌(Sanger)
  6. D208 尼僧(Nonne)
  7. D209 吟遊詩人(Liedler)
  8. D212 尼僧(Nonne)
  9. D215 狩人の夕べの歌(Jager)
  10. D225 漁師(Fischer)
  11. D247 糸を紡ぐ女(Spinnerin)
  12. D256 宝を掘る人(Schatzgraber)
  13. D274 指物師の歌(Tischer)
  14. D351 漁夫の歌(Fischer)
  15. D358 狩人の夕べの歌(Jager)
  16. D369 馭者クロノスに(Schwager)
  17. D392 農夫に(Pfluger)
  18. D397 騎士トッケンブルグ(Ritter)
  19. D449 よき羊飼い(Schafer)
  20. D454 兵士への挽歌(Soldaten)
  21. D490 羊飼い(Schafer)
  22. D517 羊飼いと騎士(Schafer、Ritter)
  23. D524 アルプスの狩人(Jager)
  24. D536 船乗り(Schiffer)
  25. D560 金細工師の歌(Goldschmied)
  26. D562 漁夫の歌(Fischer)
  27. D588 アルプスの狩人(Jager)
  28. D694   船乗り(Schiffer)
  29. D712 囚われの歌びと(Sanger)
  30. D761 羊飼いの願い(Schafer)
  31. D785 怒れる吟遊詩人(Liedler)
  32. D795 狩人(Jager)
  33. D808 ゴンドラの船人(Schiffer)
  34. D828 若き尼僧(Nonne)
  35. D842 墓堀人の郷愁(Totengraber)
  36. D843 囚われし狩人の歌(Jager)
  37. D881 漁師の歌(Fischer)
  38. D909 狩人の愛の歌(Jager)
  39. D911 辻音楽師(Leiermann)
  40. D933 漁夫の愛の幸せ(Fischer)
  41. D957 戦士(Krieger)
  42. D957 漁夫の娘(Fischer)
  43. D965 岩の上の羊飼い(Schafer)

以上43曲。出現頻度をまとめると以下の通り。

  1. Fischer(漁師)6回
  2. Goldschied(金細工師)1回
  3. Jager(狩人)7回
  4. Krieger(戦士)1回
  5. Leiermann(辻音楽師)1回
  6. Liedler(吟遊詩人)2回
  7. Nonne(尼僧)3回
  8. Pfluger(農夫)1回
  9. Ritter(騎士)2回
  10. Sanger(歌びと)3回
  11. Schaffer(羊飼い)6回
  12. Schatzgraber(宝堀人)1回
  13. Schiffer(船乗り)3回
  14. Schwager(馭者)1回
  15. Solderten(兵士)1回
  16. Spinnerin(糸紡ぎ)1回
  17. Taucher(潜水夫)1回
  18. Tischer(指物師)1回
  19. Totengraber(墓堀人)2回

狩人7回、羊飼い6回、漁師6回がトップ3だ。同じ「Fischer」でも日本語に転写する際に「漁師」と「漁夫」に分かれるなど、注意も要る。D517で重複があるので頻度の合計は44になる。翻ってブラームスで同じことを試みる。

  1. Jager(狩人)op95-4
  2. Schmied(鍛冶屋)op19-4
  3. Tambour(鼓手)op69-5

以上だ。歌曲総数573で44回、7.7%のシューベルトに対し、ブラームスは総数204曲で3回1.5%だ。テキストの取捨選択が作曲家の個性とするならこれはもう両者のキャラの反映だと思われる。ほかの作曲家でトライしてみないとどちらが主流かわからぬが、暑くてやる気が出ない。

タイトルにとどめず、テキストに踏み込んだらかなり増えると思われるが、ブラームスはともかくシューベルトの全テキストをあたるのは腰が引けている。タイトルだけでは「粉屋」(Muhller)が引っかからないなど、必ずしも公平ではない。

春夏秋冬を彩る花鳥風月や雨風雪あるいは、恋、旅など古典和歌でも頻発する概念であれば、日本人でもイメージしやすく感情移入も容易だけれど、これら職業名には注意が要る。ドイツ人なら一連の職業名を見聞きしただけで特定のイメージを想起できるはずだが、一般的日本人には難しい。「海士の小舟の綱手かなしも」の「海士」(あま)が「Fischer」と同じ概念であるはずはない。作品の味わいに少なからぬ影響があるに決まっている。

 

 

 

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