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2021年7月22日 (木)

ドイツ職人紀行

これまた素晴らしい本。

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さまざまなドイツの職人たちを切り口にしたエッセイ。歴史や地理に密接につながっている。地名、人名にも深く関係する。その49ページに「粉屋」が出て来る。粉屋は「ミューラー」でドイツではとてもメジャーな苗字。ほぼ集落に一軒ある水車小屋の主人である。水車小屋とはいっても石造のりっぱなつくりで必ずしも「小屋」というイメージとは一致しない。ジャガイモが台頭する以前のドイツの主食はやはり小麦で、これは粉ひきという工程抜きには語れないから、粉屋は最重要だという。運び込まれた小麦の倉庫もあり、防虫防鼠の備えもある。川の水利権まで持っていた街の名士だとされている。

一般的解説に続けてなんとシューベルトが取り上げられる。「水車小屋の娘」はその街きっての令嬢だとされている。歌曲集「美しき水車小屋の娘」では粉屋の修行でさすらう若者が修行先の娘に恋をするが、やがて自ら身を引く。どこの馬の骨かわからぬ風来坊がお嬢様に手を出すと、取り巻きから袋叩きにされるから、自ら去るのは賢明だと説く。

「フランダースの犬」の主人公ネロの憧れの相手は粉屋の一人娘アロアだった。同じ粉屋でもこちらは風車小屋の娘だ。

同じ粉屋でも、娘ではなくて女房というなら、ファリャ「三角帽子」に登場する。代官が見初めるというパターン。何かと人気者だ。

 

 

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