ジェラルドムーア
フィッシャーディースカウ先生は大著「シューベルトの歌曲を辿って」の中で、シューベルトへの愛を隠していないが、同等な愛情が伴奏者であるジュラルド・ムーア先生にささげられている。1899年生まれで、1972年に同全集が完成されたときは73歳だったはずだ。彼の記述はわずか5行にとどまっているが、心酔ぶりは明らかだ。「紙幅が許せば、この人の記述に1章をささげるべきだ」「シューベルト歌曲全てについて伴奏経験がある世界で唯一の人物」という感動的な前置きに始まり、その演奏の特質を嬉々として列挙する。
- リズムの弾み
- レガート奏法の技術
- テキストへの感情移入
ジェラルド・ムーア先生の伴奏は我が家のささやかなCDのコレクションの中にあっても膨大な量で、相棒の歌手はディースカウ先生にとどまるものではない。
ブラームス歌曲の伴奏においても図抜けた存在だ。ディースカウ先生の掲げた上記の特質は、何もシューベルト演奏に限ったものではなく、ブラームスにおいても威力を発揮していると見るのが自然だ。
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