裏ワルツ王
断わりなく「ワルツ王」と言ったら、そりゃあヨハンシュトラウス親子を指す。息子の方が「王子」と呼ばれている形跡はない。どっちも王様なのだろう。王と言われるからには根拠はあるはずだが、ここで「王の定義」はなんぞやと野暮は言わないことと引き換えに妄想を一つ。「歌曲の王」として音楽界に君臨するシューベルトを「裏ワルツ王」と認定したい。
残された作品にワルツが多い。ワルツはなんといってもウイーンの名物で、舞踏会の呼び物だ。男女密着の形が受けに受けて、たびたびの取り締まり沙汰にもなりながら、大流行した。元々は素朴な3拍子の舞曲で古来ドイツ舞曲やレントラーだったものがやがて洗練され、時に管弦楽化されていったという。同時にテンポが上がる。その方が躍る男女の密着度が高まるからだというのがジョークに聞こえない。
ウイーン風に華麗になる前の「ドイツ舞曲」「レントラー」「ワルツ」をピアノ用に大量に作曲したのがシューベルトだ。1曲は短いがなんせ量が多いのでCDにしたら5枚組だ。連弾用まで入れたらもっとである。数だけならシュトラウス親子にも負けない。在宅のつれづれに流しっぱなしも悪くない。
ブラームスのop39「16のワルツ」はシューベルトへのオマージュに他なるまい。
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