シュトックハウゼンの弟分
ジョージ・ヘンシェル(1850-1934)はブレスラウ生まれの歌手、作曲家、指揮者。ボストン交響楽団の初代指揮者としても名高いけれど、ブラームスは歌手としての才能を高く評価した。文筆家としてブラームスの回想録も残している。ブラームスとの愉快なやりとり満載で、優秀な演奏家としての側面を忘れられがちだが、しばしばシューベルトが話題になっている。
一方フィッシャーディースカウ先生の「シューベルトの歌曲をたどって」の中でもヘンシェルが取り上げられている。
シューベルト没後の作品の受容を論ずる章に現れる彼をフィッシャーディースカウ先生は「シュトックハウゼンンの弟分」と呼んでいる。演奏や解釈、あるいはキャラからそう呼んでいるという文脈だ。シュトックハウゼンとは申すまでもなくブラームスの友人にして当時最高のバリトンだ。その弟分というのは賞賛含みに決まっている。歌手の系統上の後継というニュアンスまで感じてしまう。ということはつまり、ヘンシェルのシューベルト演奏も高い評価を受けていたということを示唆する。
リューゲン島でブラームスとともに夏を過ごすヘンシェルが、ホテルのロビーでブラームスを伴奏者に従えて即興のリサイタルを開いた。曲目にシューベルトがあったと回想している。
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