管弦楽伴奏付与
シューベルト大好きのブラームスは歌曲の管弦楽伴奏付与にいそしんだ。断りなく「管弦楽伴奏」と言うと華麗なオーケストレーションを施したかと誤解されかねない。ブラームスの手による管弦楽伴奏についてその編成を整理しておく。
- 馭者クロノスD369 2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,2Hr,2Tp.Tim,弦楽5部
- メムノンD541 2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,4Hr,弦楽5部
- タルタルスの群れD583 2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,Kfg,2Hr,2Tp,3Tb,Tim,弦楽5部
- 秘め事D719 Hr,2Vn,Va,Vc
- 老人の歌D778 2Fl,2Cl,2Fg,3Tb,2Va,2Vc,Kb
- エレンの歌2D838 4Hr,3Fg
- 夜の曲D672 Fl,Ob,Cl,Fg,Kfg,Harp,弦楽5部
以上だ。これらを「管弦楽伴奏」というタグで一くくりにするのは心許ない気がしている。
最大の編成は上記3の「タルタルスの群れ」だ。シューベルトのオリジナルのピアノ伴奏も色とりどりだから、管弦楽への転写で華麗になるのは理解出来る。けれどもそれでもベルリオーズあたりと比べるとおとなしい印象だ。ほぼ第一交響曲と同じ編成である。これを標準としておさえておく。
上記1「馭者クロノス」と上記3「メムノン」および上記7「夜の曲」は標準の編成から少々の控除がある程度。金管楽器と打楽器が抜ける感じ。「夜の曲」のハープは珍しい。
しかし上記4~6はかなり個性的。
ホルン1とコントラバスを除く弦楽器の「秘め事」、「老人の歌」では打楽器に加えオーボエ、ホルン、トランペットが脱落している他、ヴァイオリンもいない。ドイツレクイエムの第一曲で起きている編成に近い。
「エレンの歌2」はホルン4にファゴット3だけ。管弦楽版と呼ぶのもはばかられる。
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