さても菩提樹
歌曲集「冬の旅」D911の5番目。同曲集中最高の一品。ホ長調4分の3拍子の奇跡。オリジナルは「Der Lindenbaum」という。
夏の歌が手薄だと申したばかりだ。タイトルに入った季節名に限ればその通りだが、菩提樹の花は季語としては夏だ。日本人たる者、直接の季節名は無くても特定の言葉が自動的に季節と結び付くものだ。歌曲としての「菩提樹」には花としての描写はないが、木陰となればやはり夏かと。それが歌曲集「冬の旅」の中に存在するとなると一筋縄では行かない。
葉ずれの音、そよかぜ、物思いをほのめかす短調へのゆらぎ。もやが晴れるように微妙な長調への復帰。夏っぽくはあるけれど保留。
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