運命動機
ベートーヴェンの第五交響曲冒頭のあれである。「GGGES」だというより「ジャジャジャジャーン」で通じるのではあるまいか。肝は先頭の8分休符だったりする。同曲のいたるところに痕跡をとどめ、これが「主題労作」の典型となり手本と化してゆく証拠に、ベートーヴェン自身の他の作品は元よリ、後世の作曲家の作品にもそれと思しき箇所が散見される。ブラームスにだってある。特定の作曲家のベートーヴェンとの関係を強調したいときに重宝しているようにも見える。
そこでシューベルトだ。「こびと」D771に注目したい。オリジナルは「Der Zwerg」という。マテウス・フォン・コリンのテキストは「魔王」「死と乙女」の系統のバラードと解してよさそうだが、内容はずっと陰惨。
同曲中に運命動機が頻繁に現れる。1823年の作品なので当然運命交響曲よりも後。なんらかのインスピレーションの連携がないとしたらその方が不自然だ。シューベルトの手にかかると陰惨なテキストの内容が濾過される感じ。
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