Die Ruh
思うに恋歌最高峰。「Du bist die Ruh」D774のことだ。テキストはリュッケルト。8分の3拍子なので例の「惚れ込み4原則 」の定義からは外れるけれど、雰囲気だけはピタリとはまる。男性の立場から愛する女性のことを描写しているにはしているのだが、なんだか超越している。愛の情熱を題材にしながら、その表現はひたすら内面的。おそらくその原因は「Ruh」というドイツ語だ。もっぱら「やすらぎ」と訳されるが、ニュアンスには相当注意が要る。静溢なアルペジオのイントロだけで、あっという間にシューベルトワールドに引き込まれる。3拍子のうちの2拍目にうっすらとアクセントが来るのでほんのりサラバンド風味。なだらかなメロディラインに終始するが間奏部になると少々の起伏が暗示される。
5節からなるテキストのうち5節目においてのみ、多分Cesdurに触れることで全体がキュッと引き締まる感じ。
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