ヴィルデマンの丘で
オリジナルは「Uber Wildemann」D884という。シュルツェのテキストによる1826年の作品。ハルツ地区の字名をタイトルに頂くテキストは、春の到来を描写しながら、旅人の孤独を対比的に際立たせる。「季節は春なのに我が心は…」というノリ。古くは大伴家持、新しくは中島みゆきにも見られる。シューベルトで申せば「冬の旅ワールド」の投影という説が有力だ。それを象徴する舞台がハルツということだ。
ハルツは東西ドイツの国境の山。ワルプルギスの魔女伝説の舞台。そして私のようなブラームス愛好家にとっては「アルトラプソディ」の舞台だ。同曲はシューマン夫妻の三女ユーリエへの思慕と失恋が投影していると取り沙汰されてきた。
つまり伝統的にハルツの冬はそうした心象表現の舞台でありまたツールであったと解して違和感がない。
問題はこのWildemannを地図上に見つけられていないことだ。
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