王と王子の12番歌合せ
ここでいう「王」とは「歌曲の王」で、無論シューベルトのことだ。「王子」は私の発案でブラームスのこと。歌曲におけるブラームスをシューベルトの後継者と位置付ける立場の表明だ。
歌合せは我が国の古典和歌の伝統にのっとる。歌人を左右に分け、あらかじめ設定された題に沿って歌を献じて判者が優劣を決するイベントだ。
シューベルトとブラームスからそれぞれ歌曲を12曲選定し、歌合せをしようという企画だ。計12組で優劣を競うという趣向。選定された12曲は必ずしも両者の私的ベスト12ではないことは先にお断りしておく。まずシューベルトの12曲をドイチュ番号順に配置し、それに対応するブラームス作品を後からあてがった。シューベルトを青文字、ブラームスを赤文字にしておいた。
- 糸を紡ぐグレートヒェン D118 ゲーテ
- 永遠の愛について op43-1 ヴェンツィヒ
- 月に寄す D193 ヘルティ
- 五月の夜 op43-2 ヘルティ
- 連祷 D343 ヤコビ
- サッフォーの頌歌 op94-1
- 幸福 D433 ヘルティ
- セレナーデ op106-1 クグラー
- 子守歌 D498 ?
- 子守歌 op49-4 子供の不思議な角笛
- ます D550 シューバルト
- 雨の歌 op59-4 グロート
- 水の上で歌う D774 シュトルベルク
- あの娘のもとへ op48-1 ボヘミア民謡
- 夕映えの中で D799 ラッペ
- エーオルスのハープに寄せて op19-5 メーリケ
- 夜と夢 D827 コリン
- 野に一人いて op86-2 アルメルス
- ノルマンの歌 D846 シュトルク
- 領主フォンファルケンシュタイン op43-4 ウーラント
- シルヴィアに D891 シェークスピア
- 調べのように op105-1 グロート
- 提菩樹 D911-5 ミューラー
- 日曜日 op47-3 ウーラント
軽く説明する。
<1組> 「糸を紡ぐグレートヒェン」と「永遠の愛について」 これらを両者の代表作と断言しても炎上には至るまい。
<2組> ヘルティによる月の描写をそろえた。
<5組> 子守歌を競わせる。
<6組> どちらも室内楽の引用元になっている。
<7組> 陰影の深い短調。
とても楽しい作業。CDに取り込んでドライブの友としても機能する。
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