ご落胤
「高貴な人物の隠し子」というくらいの意味で間違いはなさそう。美貌の皇后シシィは、窮屈な宮廷生活を避けて旅行に明け暮れたから、ウィーンに残る皇帝とは事実上の別居状態だった。皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に愛人がいたという噂はこうした境遇と無縁ではない。
30歳の皇帝に見初められたのは、15歳のアンナ・ナホフスキーという女性。この若さで既婚だった。やがて離婚してまた再婚した彼女は全部で4人の子を産んだ。このうち2番目と3番目の子どもの父親が皇帝だったといわれている。
2番目の子は女の子でヘレーネ、3番目は男の子で、そのものズバリでフランツ・ヨーゼフという。驚くべきはヘレーネで、声楽を学びやがて作曲家アルバン・ベルクの妻となった。グスタフ・マーラーの妻アルマや指揮者ブルーノ・ワルターも手記の中で、ヘレーネの父が皇帝だった可能性に言及しているという。
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