大公
ドイツ語「Erzherzog」の訳語。単なる公爵「Herzog」より偉いという意味がある。
神聖ローマ帝国では、皇帝を選ぶ選挙があって、投票権の保有者を選帝侯と呼んだ。制度正式発足時7名が名を連ねた。不思議なことにこの7名にハプスブルク家が含まれていない。長らく疑問だった。
これは当時の皇帝、ボヘミア王カール4世の陰謀だ。ルクセンブルク家出身のカール4世はライバルであったハプスブルク家をはずしたのだ。1396年の金印勅書でそう決めた。
ところがこれを逆手に取る切れ者がハプスブルク家に現れた。ルドルフ4世という。ハプスブルク家は選帝侯たちより上位にあるからといって、「オーストリア大公」を名乗った。公爵より上だという理屈だ。「選帝侯はどんなに偉くても選ぶ側」であり、ハプスブルク家がそれに入っていないのは「選ばれる側」だという理屈だ。
後にハプスブルク家が皇位を独占する法的根拠になったから、この知恵比べはルドルフ4世の勝ちだ。ベートーヴェンのパトロンとして名高いルドルフ大公など、オーストリア・ハプスブルク家には何かと「大公」が登場するのはそのせいだ。
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