フリッツ・クライスラー
1875年2月2日ウィーンに生まれたヴァイオリニスト。小さな奇跡に浮かれていたので言及が遅れた。
ヨアヒムの後継者に相応しい技量と品格、名声を併せ持つ。ヴァイオリン演奏だけにとどまらず、作曲の腕前も確かだ。ヨアヒムといいクライスラーといい、ブラームスのコンチェルトの中に置かれても遜色のないカデンツァを作るくらいだから、作曲がお留守ということは有り得ないのだ。
3歳からヴァイオリンを習い始めた彼は、1882年7歳でウィーン高等音楽院の入学を許可される。17歳ではない。7歳である。よほどの才能だ。そこではヘルメスベルガーに師事したことになっている。これほどの才能がブラームスの耳に入らなかったということは考えにくい。現にクライスラーは、ヨアヒムやブラームスと直接交流があった。
のちにフランスを経て米国に渡る。1950年に引退して1962年に亡くなった。
終生手許においた宝物がある。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の自筆譜だ。クライスラーの遺品となったその自筆譜は、現在ワシントンのアメリカ国会図書館で、コレクションの白眉となっている。
彼はおそらくブラームスを愛していたのだと思う。
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