二の矢
2本目に射る矢のこと。「次の一手」の意味でも用いられる。次に打つ手が無いことを「二の矢が継げない」という。逆に次々と手が打たれれば「矢継ぎ早」と称される。
書籍「ブラームスの辞書」は、ブラームスが楽譜上に記した音楽用語を抜き出してアルファベット順に並べた代物だ。各々の語句には以下の要領でコメントが付与される。
- 一般的な意味
- ブラームスの作品で登場する場所
- 著者のコメント
このうちの1番「一般的な意味」は、通常の音楽用語辞典に掲載されているような内容だ。「Adagio」だったら「ゆっくりと」と書いてある。この部分の記述だけなら何も目新しくはない。世の中に広く流布する音楽用語辞典と何ら変わる物ではない。ブラームス作品の演奏に挑もうとする人々が、楽譜上の用語の意味を調べる。一般的な意味であればただちにたぐり寄せることが出来る。我が「ブラームスの辞書」の出番はそこからだ。一般的な意味にたどり着いてなお残ってしまう疑問を解くために書いた。
- スフォルツァンドとリンフォルツァンドの区別
- 「a tempo」と「in tempo」の区別
- 「Adagio」と「Lento」の区別
上記の語句個別であればいずれも一般的な意味を探すのにさしたる苦労はない。けれどもそれらの違いについて明確に言及されている例は希だ。「ブラームスの辞書」にはブラームスの使用実態からそれらの違いに迫ろうという意図がある。使用実態の分析から、よりアクティブにブラームスの真意に迫ろうという魂胆だ。
「ブラームスの辞書」は一般的な辞書でたどり着いた後に、なお残る疑問のためにある。つまりは「疑問の二の矢対策」だ。
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