ブラームスの絶筆
クララがこの世で書き残した最後の文字が、ブラームス最後の誕生日に対するメッセージだった。
そこから1年を経ずしてこの世を去ったブラームスの絶筆は、どのようなものだったのだろうか。
カール・ガイリンガーの大著「ブラームス-生涯と芸術」という書物がそのことに言及している。
ガイリンガーによれば、ブラームスの絶筆はカロリーネに宛てたハガキだという。カロリーネはブラームスの母の死後、父が迎えた2人目の妻である。ブラームスより10歳年長の継母に自分の体調を書き送ったものだ。これが3月29日である。父の晩年を豊かなものにした継母や前夫との子、フリッツと父の死後も暖かな付き合いが続いていた。何とその絶筆の文面は「大丈夫だから心配するな」という内容だったという。
ブラームスは1897年3月24日つまり死の10日前にヨアヒムに宛てて自らの容態について悲観する手紙を書いていることを、ガイリンガーが明言している。カロリーネへの気丈な内容とは矛盾していることを責めてはなるまい。
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