自主規格
自分が定めた決まりのこと。味も素っ気もない定義だ。「~を名乗るからには最低備えておきたい資質」とでも付け加えねば横着が過ぎよう。
ブログ「ブラームスの辞書」にもこの自主規格がある。「辞書」を名乗る以上、用語解説の充実は必須である。大事なことは規格そのものではなくて、「自ら定めた」という点だ。元々世の中に決まりが存在しているわけではないが、自らを律するために必要だという判断をしている。
振り返って世の中には、国などの公的機関が定めた規格が存在しないために、業界自ら定めた規格は少なくない。実はこの用法が最も多い気もしている。「どうせ自主基準だし」という少々のいじけも含まれている。
クラシック音楽業界、あるいはブラームス音楽業界で自主規格を定めて欲しいことがある。「暗い」「憂鬱」「渋い」「諦観」など、ブラームスを彩る単語の定義が甘くて困る。大したコンセンサスもなく用いられている気がする。楽譜のどこがどうなっていた場合に「暗い」という形容をしていよいのかさっぱり見当がつかない。Aさんの言う「憂鬱」とB先生の言う「憂鬱」が同一の事象を指しているかいないか不明のことも多い。もちろんブラームス自身はこのような日本語を楽譜に書いていないから「ブラームスの辞書」では収録の対象外である。
書籍「ブラームスの辞書」の最終目的は、ブラームスが用いたイタリア語またはドイツ語の音楽用語についての業界基準の設定にある。荷が重いけどがんばる。
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