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2022年4月29日 (金)

ワーグナー

30年近くブラームスに親しんでいるし、それは一生続くと断言出来るのだが、本日話題のリヒャルト・ワーグナーはブラームスの伝記にも頻繁に登場する。当時欧州を二分した音楽論争の両陣営の首領どうしという間柄だから、何かと誇張されていることもあろう。

ワーグナーのブラームス観は一貫している。「ちょっと目立つ室内楽作曲家」程度だったことは想像に難くない。20歳年下のブラームスのワーグナー観はもっと複雑だろう。時折皮肉を交えたコメントを発しながらも無関心ではいられないという位置付けだ。クララ・シューマンが見せたストレートな嫌悪よりは大人の対応をしている。

私がブラームスに目覚める前には、まだベートーヴェン少年だったから、かえってブラームスとワーグナーを公平な目で見ることが出来ていた。ワーグナーの作品はいくつかの序曲(前奏曲)が演奏会で取り上げられることもあった。出発点は同じだったのだが、気が付くとやはり私はブラームスにのめり込んでいった。2人の伝記的事項や作品の分析を通じてその原因を追求しようなどということに費やす時間はない。

最近ワーグナーの作品を聴かない。例外はクライバー指揮の「トリスタン」くらい。30年前に購入した今のヴィオラでワーグナーの作品を弾いたことはない。昔の楽器で約35年前にマイスタージンガー前奏曲を弾いたのが最後だったと思う。

私は多分ワーグナーが嫌いなのだと思う。極端に受け取られてもいけないが、少なくともワーグナーの音楽は無くても困らない。膨大なワーグナーの作品を全部聴いたことが無いのに断言することは本来危険なのだが、全部聴いてもおそらく好きにはなるまいと見切っている。

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