逸脱のパターン
バロックの先輩作曲家が築き上げた舞曲のお約束からバッハがどのように逸脱していったのかについてさらに考察を深めるため、お約束を今一度思い出しておく。
- 「アルマンド」「コレンテ」「サラバンド」がこの順で連続する。
- 終曲に「ジーク」を据える。
<逸脱パターン1>
「アルマンド」「コレンテ」「サラバンド」は維持されるものの、連続しない。BWV803を背負うホ短調のパルティータは、「コレンテ」と「サラバンド」の間に「エア」が入り込む。
<逸脱パターン2>
「アルマンド」「コレンテ」「サラバンド」の一部または全部の省略。BWV1006を背負う無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータホ長調は、これら3つ全部脱落だ。管弦楽組曲の3番と4番も同様な全脱落が起きている。
<ジークがあるのに終曲に来ない>
BWV831、BWV997、BWV1004の3種。「BWV831」でジークの後に来るのは「Echo」、BWV997では「Double」だ。「Double」は先行する「ジーク」の変奏の意味合いがあるから「ジーク」の脱落とまでは言えぬかもしれない。そして「BWV1004」でジークの後に来るのは、あの名高い「シャコンヌ」である。
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