挿入舞曲
組曲を構成する基本曲種「アルマンド」「クーラント」「サラバンド」「ジーク」に別の形態の曲が追加されることがある。その代表が先頭に付加される序曲だと書いた 。「序曲」「前奏曲」などネーミングは様々だが本質は「話の枕」である。
この他にもつけ加えられる曲種がある。付け加えれる曲が舞曲である場合、これを「挿入舞曲」という。なぜ「挿入」というのか。それは付け加えられる曲の位置が「サラバンド」と「ジーク」の間であることが多いからだ。
バッハのサンプル35組曲のうち、挿入舞曲が見られないのはたった2曲BWV996と997を背負ったリュートのための組曲だけだ。残り33曲94.2%が挿入舞曲を伴っている。もはやこれを基本からの逸脱とは呼べない。むしろバッハの定石となっている。
挿入舞曲は以下の通り。
- Bouurre
- Ciaccona
- Forlane
- Gavotto
- Loure
- Menuetto
- Musetto
- Paspied
- Polonaise
- Scherzo
これらのうち1つまたは複数がサラバンドとジークの間に挟まるのが常套手段だ。管弦楽組曲は、基本4舞曲の脱落が目立ち、この手の挿入舞曲だけで構成されることもある。
注意が必要なのは、このうちの10番「Scherzo」だ。古典派以降ではソナタ形式の楽曲において舞曲楽章を構成するのだが、バッハ当時との位置づけの違いは明らか。
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