奇跡のカンタービレ
記事「カンタービレの位置」で、ヴィヴァルディの「調和の霊感」に現れる「cantabile」を列挙した。その6番目にホ長調op3-12の第2楽章7小節目があった。
赤丸で囲んだ部分。このカンタービレの美しさは筆舌に尽くしがたい。記事「BWV976」でも述べたとおり、この緩徐楽章自体冒頭から大好きなのだが、このカンタービレは心に沁みる。合奏で始まった楽章が、ここから独奏の見せ場になるというところに「cantabile」が鎮座している。低音楽器は控えめに合いの手を指し挟むだけ。澄み切った空。さめざめとした空気。長調なのになんだかとても悲しい気持ちになる。我が家にあるCDでお気に入りを挙げるなら下記の通りだ。
- イムジチ ミケルッチ版 響きの奥行きを感じさせる演奏。何かと安心な老舗感が心地よい。
- イタリア合奏団 ジョヴァンニ・ググリエルモ 「pp」の表情が息を呑むほど。泣きたくなる度では随一だろう。
- ヨーロッパガランテ ビオンディ版 「四季」で聴かせる小洒落た感じは影をひそめ、どこまでもどこまでも敬虔な感じ。本日話題の「cantabile」の情感では随一。さらに6小節後に現れるアドリブっぷりが見事。
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