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2022年7月 9日 (土)

コンチェルト考

ヴィヴァルディの功績として、形式としてのコンチェルトの完成を挙げてもブログは炎上するまい。およそ450曲ともいわれるコンチェルトの中に名高い「四季」も含まれる。独奏楽器をさまざまに組み替えながら、「急緩急」の3楽章制を固めた。

ところが、ブラームスの残した4曲のコンチェルトとなると、ヴィヴァルディ風のコンチェルトとは別物だ。最大の相違は第一楽章にある。ヴィヴァルディはいわゆる「リトルネロ形式」であるのに対し、ブラームスは「協奏曲風ソナタ形式」となる。ウィーン古典派により熟成され、器楽作品の屋台骨を支えたソナタ形式を、協奏曲風にアレンジした代物だ。

協奏曲を構成する3つの楽章の調性の配置において、ヴィヴァルディでは両端楽章を主調とし、中間の2楽章は、同一調、平行調、同主調から選択される。ブラームスでこの原則に当てはまるのは最初の協奏曲であるピアノ協奏曲第一番だけだ。下属調や3度関係の調を採用する。

ピアノ協奏曲第2番では、スケルツォを加えて4楽章制を用いた。コンチェルトのソナタ化を志向したと思われる。

ところが、そうしたソナタ化の中にあって、各楽章の拍子だけは、律儀に慣習を守っているように見える。ヴィヴァルディは各楽章にふさわしくない拍子を設定している。

第一楽章に4分の2拍子は不可。逆にフィナーレ第三楽章に4分の4拍子は不可だ。速い4分の2がフィナーレにふさわしいと考えていたようだ。ブラームスのコンチェルトのフィナーレは全て4分の2拍子だ。伝統の4分の2拍子を採用しつつ、テンポを少し緩めるのがブラームスである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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