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2022年8月31日 (水)

ヴィヴァルディ特集

お気づきの人は多いだろう。ブログ「ブラームスの辞書」2022年6月から事実上ヴィヴァルディ特集だった。その後の2か月かなりな高濃度でヴィヴァルディネタを発信した。さらに自分に課した制約がある。それはその間「四季」ネタに頼らないということだ。

それほど四季は支配的だということの裏返しでさえある。中学の音楽の授業で初めて接した四季は、清掃のBGMだったこともあってビシッとすりこまれていた割には、音楽史的な位置づけを確認もせぬまま横着をかましてきた。

今ヴィヴァルディをバッハに親しむ中から差し込んだ光と位置付けてやまない。

 

 

 

 

 

2022年8月30日 (火)

合宿の夜

「調和の霊感」op3-9の話題だ。ヴァイオリンのための協奏曲ニ長調である。

1978年8月30日の夜。大学1年、大学オケの夏合宿恒例の室内楽演奏会の出来事だ。北軽井沢の合宿所のホールで、2コ上の先輩がヴィヴァルディのこのコンチェルトを仲間をバックに弾いた。

激しい雨が屋根にあたる轟音の中、それはそれは清らかな演奏だった。当時初心者で始めたヴィオラがものになるかどうかもわからぬ段階で、途方に暮れていた。夏合宿も明日で打ち上げというときに聞いたこの演奏が心にしみた。とりわけ第二楽章のピュアな旋律は長くあこがれとなった。自分はヴィオラであるにもかかわらず、いつかこういう曲が弾きたいと心から思えた。中学時代から継続中のベートーヴェンラブの真っただ中、ヴィヴァルディと言えば中学の清掃時間のBGMだった四季しか知らない偏った価値観に差し込んだ光。まだブラームスへの傾倒は始まっていなかった。

あれから44年。

 

 

 

 

2022年8月29日 (月)

サプライズ5位

バロック特集を通じて、私の脳内作曲家番付に変化があったと書いた。2010年のドヴォルザーク特集を通じてブラームスに次ぐ2番手に上がっていたドヴォルザークだが、このほどバッハが2番手に復帰したということだ。これでブラームス、バッハ、ドヴォルザークというトップ3となった。

従来4位は混とんとしていた。マーラー、ベートーヴェン、シューマン、Rシュトラウス、モーツアルト、シューベルトあたりが4位グループを形成していた。昨年のシューベルト特集でシューベルトが抜け出して4位の座を確保したことは記憶に新しい。

そして今、はっきりとヴィヴァルディが5位に浮上した。1年前まで4位グループにさえ属していなかったから、かなりな数ごぼう抜きした。

東西の横綱にブラームスとバッハ。東の正大関がドヴォルザークで西大関がシューベルトだったところに、新たにヴィヴァルディが関脇に昇進した感じである。ワーグナーはもちろんモーツアルトやベートーヴェンやシューマンを差し置いてということだ。

昇進の理由は半年がかりで述べてきたとおりである。

 

 

 

 

 

 

2022年8月28日 (日)

鍵盤苦手

ヴィヴァルディの残した作品群を眺めていて疑問に思うことがある。チェンバロやオルガン独奏用の作品が見当たらない。まだまだ新発見の作品が出てくるから、まだ見つかってないだけという可能性もあるけれど、知られている作品が膨大な数であるのに、トリオソナタで通奏低音があり、そこではチェンバロが演奏しているのは別として鍵盤楽器独奏用作品が見当たらないのは不思議だ。

ブクステフーデやパッヘルベルはオルガニストだったけれど、弦楽器を含むトリオソナタを書いている。スカルラッティだって膨大なチェンバロ作品に交じって合奏協奏曲がある。

当時は演奏家と作曲家の棲み分けがあいまいだった。「ヴァイオリニスト兼作曲家」はたくさんいた。ヴィヴァルディがその代表格だ。「鍵盤楽器奏者兼作曲家」は弦楽器を用いた作品を書くけれど、下記のような「ヴァイオリニスト兼作曲家」は鍵盤楽器独奏用の作品を残していないように思える。

  1. ヴィヴァルディ
  2. ロカテッリ
  3. ヴェラチーニ
  4. ジェミニアーニ
  5. タルティーニ
  6. コレルリ
  7. ビーバー
  8. シュメルツァー

 

 

 

 

 

2022年8月27日 (土)

ヴィヴァルディ復興

私の脳内ルネサンス。ブログ「ブラームスの辞書」内でバッハに付与された高い位置づけは、一連のバロック特集以前から確定していた。企画の期間中にカテゴリー「301バッハ」所属の記事が282本を超え、ドヴォルザークを抜き返したこと、すでに述べておいた。

その陰でヴィヴァルディの記事も100本に接近中だ。作曲家カテゴリーでバッハ、ドヴォルザーク、シューベルトに次ぐ第4位に躍り出た。

「四季」だけの作曲家ではないと知っているつもりの人生だったが、改めて思い知らされた。調和の霊感12曲を1つとってもすごいと思う。作品番号付与の作品の他にも素晴らしい作品がたくさんある。私の好みが半ば意図的に器楽側に寄っていなければもっと増えたはずだ。

小粋で品がいい。気が利いている。バッハよりあっけらかんなイメージだが、op3-12のラルゴにような底知れぬ緩徐楽章も書く。要は何でもできるのだ。

 

 

 

 

2022年8月26日 (金)

大作曲家の信仰

聖書系の書店を何気なくうろついていて手に取った本。R・カヴァノーという人の著作が和訳されたもので、教文館から刊行されている。2500円をためらわずに支払った。音楽系の書店では見かけなかった。下記の作曲家たちを信仰という切り口から語っている。

  1. バッハ
  2. ヘンデル
  3. ハイドン
  4. モーツアルト
  5. ベートーヴェン
  6. シューベルト
  7. メンデルスゾーン
  8. ショパン
  9. リスト
  10. ワーグナー
  11. グノー
  12. フランク
  13. ブルックナー
  14. ブラームス
  15. ドヴォルザーク
  16. エルガー
  17. ヴォーンウイリアムス
  18. アイヴス
  19. ストラヴィンスキー
  20. メシアン

著述の前半は生涯の簡単な紹介になっている。後段で信仰のことが語られる。欲を言うと、ヴィヴァルディ、テレマン、ブクステフーデ、パッヘルベルあたりのバロック期の人たちを加えてほしかった。ドイツ系のめぼしいところでは、シューマン、マーラー、ウェーバーあたりが抜けている。オペラ系やフランス系に薄い感じがする。言及のある作曲家についての記述が充実しているのでないものねだりがしたくなる。

そんなことよりイタリア全滅はあんまりだ。それならそうで「大作曲家」などと振りかぶらねばいいのに。

 

 

2022年8月25日 (木)

見るまで信じない

ヴィヴァルディにはまっている。四季や調和の霊感以外にもいろいろとCDを入手している。

「ヴァイオリン、オーボエ、シャリュモーと3つのヴィオールのための協奏曲変ロ長調RV579」という作品がある「Funebre」という愛称がついている。「葬送」という意味なのだが、それなのに変ロ長調というのが面白い。

シャリュモーとはクラリネットの前身となった管楽器だなどと感心していたら、第2楽章の発想用語を見て言葉を失なった。

「Allegro poco poco」「アレグロポコポコ」と口に出してみてほしい。

もはや日本語訳不能だ。ブラームスには一か所も用例がない。「緩急緩急」の4楽章制の第2楽章だから「急」のはずなのだが、単なる「Allegro」ではない。「poco」が1個ならなんとなく飲み込める。ブラームスにだって「Poco allegro」や「Poco allegretto」があるからだ。

ブラームスと違ってネイティヴなイタリア語の使い手だったヴィヴァルディが用いたのだから、荒唐無稽な用法ではあるまいが、CDの解説書上で見ただけではにわかに信じにくい。楽譜に書かれているのを見るまでは。

CDを聴いた感じだけで申すと遅めのアレグロという感じなのだが、この程度の緩さはほかにもあるのになぜこの楽章だけが「ポコポコ」なのだか判然としない。

 

 

 

 

2022年8月24日 (水)

バロックオペラ

バロック特集を標榜しながら、オペラを含む声楽作品を避けてきた。純粋に私の好みの問題だ。

ところがバロック時代、音楽の根幹はオペラだった。シンフォニア、コンチェルト、アリアなど、器楽曲も実はオペラからの派生である。器楽曲がいかに素晴らしいものであっても、音楽活動の辺境であったと考えていい。それはつまりイタリアの優越さえ意味する。最古のオペラモンテヴェルディの「オルフェオ」の完成した1600年を、バロック時代の起点に据える考え方もこうした事情の反映であると思われる。

器楽の地位は、バロック時代を通じて一貫して上がり続けたが、ここでもやはりイタリアの先導的な地位は動かない。もしヴァイオリンの台頭がなかったら器楽の地位はもっと低かったに違いない。ドイツでは相対的に器楽が盛んであった。とりわけオルガン、チェンバロの発展においてドイツの果たした役割は大きいと目されている。

ヴァイオリンが私のバロック特集の隠されたキーであることお気づきの通りだが、バロックオペラの重要性は不変であることを念のために確認しておく次第である。

ヴィヴァルディはこの点でもエクセレントだ。

 

 

 

2022年8月23日 (火)

整数のイメージ

一桁の整数9種類、ゼロを入れれば10種については、日常と結びついたイメージが浮かびやすい。人それぞれだろうが、10種の数字へのイメージを簡単に想起できる。

これが10を超えてもある程度は可能だ。貢献しているのはスポーツの背番号だ。サッカーでも野球でも番号にはイメージがつきまとう。とりわけアメリカンフットボールはポジションによって番号が割り振られるから、99番まで万遍なくイメージが設定できる。

ところが100を超えて3桁になると、背番号では行き詰まる。

そこで音楽だ。作品目録番号は悠々と3桁目に達する。ブラームスの作品番号は122が最大値だから背番号と変わらぬが、モーツアルトのケッヘル番号、バッハのBWV、ヴィヴァルディのRVなど3桁でもカバーできる。

1004は「シャコンヌ」だし、「626」はレクイエム、「269,315.293,297」はどこかIPアドレスではなく「春夏秋冬」だ。

テレマンの発番体系は特殊なので整数のイメージには直結しないのが惜しい。もし可能なら4ケタまで一部カバーできるからだ。

 

 

 

 

2022年8月22日 (月)

Sonate representiva

ハインリヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバーの作品。「描写ソナタ」とでも訳せばいい。シュメッルツァーの弟子と言われている。バッハが手本にしたとされているから中期バロックだ。

このソナタ集は序奏とフィナーレに挟まれた7曲小品集である。

  1. Allegro
  2. Nachtigal(ナイチンゲール)
  3. Cucu(カッコウ)
  4. Fresch(カエル)
  5. Die Hahn und der Hann(雄鶏と雌鶏)
  6. Die Wachtel(うずら)
  7. Die Katz(ねこ)
  8. Musqetir Mars(歩兵の行進)
  9. Allemande

中間の7曲は愉快。すぐにわかる。2曲目から7曲目までは動物園だ。

2022年8月21日 (日)

sonatae unarum fidium

ラテン語だ。「1本のヴァイオリンのためのソナタ」だ。無伴奏ではなく通奏低音付きである。

シュメルツァーが1664年に出版した。ドイツ語圏の作曲家の手による、1本のヴァイオリンと通奏低音のアンサンブルとして史上初の出版作品だという。誰がどう調べたかこの断言もすごい。「現存する作品としては」くらいは添えておいたほうがよいのではないかと気が気ではない。

ところが、「史上初」などと無理やり称号を奉らなくともこの6曲とてもいい。演奏時間はどれも10分以内の小品ながら様々な表情を見せる。とくに気に入っているのは2,4,6番だ。バッハの生誕から20年以上さかのぼるというのにみずみずしいことこの上ない。

 

 

 

 

2022年8月20日 (土)

ラテン語のタイトル

ラテン語は古代ローマで話されていた言葉。欧州の標準語の位置づけで、ドイツにおいても学校ではラテン語の授業があった。音楽で言うなら「レクイエム」などキリスト教関係の作品でもおなじみだ。

バロック時代の中期までは、ドイツ人作曲家の中には作品をラテン語で出版する者もいた。例えばシュメルツァーだ。

  1. Saco-Profanus Concentus Musikus,Norinbergae 1662
  2. Duodena Selectarum Sonatarum,Norinbergae 1659
  3. Sonata unarum fidicum

それぞれ下記の意味。

  1. 聖と俗の音楽的協和 ニュルンベルク1662
  2. 12の選ばれたソナタ ニュルンベルク1659
  3. 一声のためのソナタ

という具合だ。

いやあ、なんだかありがたみ100倍だ。特にだ。「Norinbergae」がニュルンベルクの古形だと知識としては知っていたが実際使われているのを見ると胸熱だ。

 

 

2022年8月19日 (金)

Cuculus canorus

「カッコウ」の学名だ。学名そのものがオスの鳴き声に由来しているということだ。古来音楽作品上で描写の対象になってきた。学名の後段「canorus」は「響く」「音楽的」の意味だというのもうなずける。もしかして「カノン」と語源は同じかとも。

田園交響曲第二楽章が名高いほかバロックにも下記の実例がすぐに目に付く

  1. ヴィヴァルディ 夏の第一楽章
  2. ヴィヴァルディ   ヴァイオリン協奏曲イ長調RV335
  3. シュメルツァー 
  4. ビーバー Sonata representativa No3

日本ではさびれた様子の描写「閑古鳥」として定着しているから、どうにも音楽的とはみなされていない。

 

 

2022年8月18日 (木)

連休のCD

いやはや驚いた。連休中にはまったCDの話だ。「フィガロの結婚」の全曲版。エーリヒ・クライバー指揮のウィーン国立歌劇場。1950年代の録音でかろうじてステレオ。かの名高いカルロス・クライバーのご尊父の指揮ということで何気なく手に取ったが大当たり。フィッシャーディースカウとプライが丁丁発止でやりとりするベーム盤が長らく脳内定番だったが、それに匹敵。私の脳味噌にディースカウ補正がかかっていなければこちらに軍配かもしれぬ。慣れないと伯爵とフィガロが聞き分けられない点だけが課題だが、そりゃこちらの耳のせいだ。

ご子息カルロス・クライバーがこの作品の録音を残していないのは父を恐れてのことかもしれない。

おまけにだ。このほど部屋の整理をしていて「フィガロの結婚」のフルスコアが出てきた。黄ばみが激しいがこれで十分だ。

2022年8月17日 (水)

ソロの互換性

コンチェルトの独奏楽器は、作品のタイトルの中に痕跡を落とす。「ヴァイオリンのための協奏曲」という具合だ。縮めて「ヴァイオリン協奏曲」となる。「楽器名+協奏曲」で、その作品における独奏楽器を手短かに明示する便利な機能だ。

ところが、ヴィヴァルディには奇妙な実例が散見される。op7は「ヴァイオリンまたはオーボエのための協奏曲」である。op8の9番も12番も独奏楽器はヴァイオリンでもオーボエでもいいことになっている。まだある。op9-3「ラチェトラ」の3番はヴァイオリン協奏曲なのだがop11-6では同じ曲がオーボエ協奏曲となって出現する。

ヴァイオリン協奏曲に極端な高音域を求めていないことと、重音奏法が現れないこともあって、いつでもオーボエで代替可能なコンチェルトが少なくない。ダブルストップ、フラジオ、ピチカート、高速アルペジオ、スピッカートてんこ盛りとなるともはやオーボエでは無理なのだが、ヴァイオリン協奏曲とオーボエ協奏曲の間、相互乗り入れが実現している。

古典派以降のコンチェルトではあり得ぬ現象だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年8月16日 (火)

ある試み

ヴィヴァルディの全作品はRV番号の最大値から820であると推定できる。散逸、異稿、偽作いろいろな課題はあろうがひとまず820と納得することにして先に進む。このうち165作品が声楽作品なので、器楽作品は655曲という理解になる。

さて、我が家のCDコレクションでこのうちのいくつがカバーされているのか確かめた。結果は「290」だ。ヴィヴァルディの「四季」は複数枚所有しているものの「4」でしかない。カバー率は器楽作品655に対して44.3%で、全作品に対しては35.4%となる。

ヴィヴァルディで35.4%は実感よりは高い。かぞえてはいないがテレマンでは10%を切るだろう。そもそも分母が怪しい。

ブラームスでは、この値は100%になる。当然ながら感心した。

 

 

2022年8月15日 (月)

マリア被昇天の日

聖母マリア様が天に召されたとされる日。8月15日だから日本ではお盆の民族大移動と重なる。

聖母信仰の代表的な祝日だから、プロテスタントのバッハには縁遠い。カトリックの司祭だったヴィヴァルディには痕跡がある。

ヴァイオリン協奏曲ハ長調」RV581は、そのものズバリ「聖母マリア被昇天の祝日のために」と題されている。「四季」と大きく違うのはイメージだ。「四季」は曲を聴いて実際の季節のイメージとのシンクロを楽しめるが、「聖母マリアの被昇天」について具体的なイメージがないからシンクロが起きにくい。

教会での演奏に配慮して、2つの弦楽合奏による編成になっている。

 

 

2022年8月14日 (日)

カニーニ

ブルーノ・カニーニはイタリアのピアニスト。1935年12月30日ナポリのお生まれ。昨日の記事「アッカルドマジック」でヴィヴァルディのヴァイオリンソナタのCDを入手したとはしゃいだが、そのCDでチェンバロを担当しているのが、カニーニさんだ。アッカルドさんのヴァイオリンもろともすっかり気に入ってしまっている。

この人とアッカルドさんのコンビは、なんとブラームスに飛び火する。ヴァイオリンソナタ全3曲のCDがある。こちらは当然チェンバロではなくてピアノを聞かせてもらえる。どちらも達者ということだ。

さてさて話はさらにバッハに。ヴィクトリア・ムローヴァさんとのコンビでバッハのヴァイオリンソナタを録音している。残念ながら全6曲ではなくて1番ロ短調、2番イ長調、6番ト長調の3曲だけがチョイスされている。ムローヴァさんには、別のチェンバリストと組んだ全曲アルバムも出ているがカニーニ版は本当に素晴らしい。チェンバロも達者なカニーニさんがなぜあえてピアノを選んだのかわかる気がする演奏だ。

 

 

 

 

2022年8月13日 (土)

アッカルドマジック

某中古CDショップで強烈な堀出し物に出会った。

ヴィヴァルディの「2つのヴァイオリンのためのソナタop1」と「ヴァイオリンソナタop2」のCDだ。ヴァイオリンを弾いているのはアッカルドだ。op1で第二ヴァイオリンを弾いているのはフランコ・グッリという名手。

 

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たまらん。新入荷の棚にあるのを手に取った。両方で4000円少々。即買い。帰宅後着替えももどかしく再生。唖然とする美しさ。凛とした音。ディスイズイタリア。

こうなるとだ。op5の6つのヴァイオリンソナタもほしくなる。

 

 

 

 

2022年8月12日 (金)

プレ調和の霊感

どのようなヴィヴァルディ関連本を読んでも、「調和の霊感」は、ヴィヴァルディの出世作と位置付けられている。1711年アムステルダムルセール社から刊行された。ヴィヴァルディ33歳だ。これによりヴィヴァルディの名が欧州中にとどろいたとされている。ブラームスで申せば「ハンガリー舞曲」だ。最初の出版作品が必ずしもブレークのキッカケにならないということだ。ドヴォルザークの「スラブ舞曲」は例外と見ていい。

出世作「調和の霊感」は、op3を背負っている。ということはつまりop1とop2が出世作に先行するということだ。

op1は「2つのヴァイオリンのためのソナタ」でop2が「ヴァイオリンソナタ」でどちらも12曲で構成される。

ちなみに名高い「四季」はop8に含まれる。ことほどさようにop3以降は、ブレークの恩恵を受けて、そこそこCDも見つかるのだがop1とop2は、相対的にCDが少ない。イムジチのボックスにも収録がない。

 

 

 

 

2022年8月11日 (木)

イ短調op3-6

我が家の次女も長女も弾いた。ヴィヴァルディの「調和の霊感」op3の6番目。イ短調ヴァイオリン協奏曲だ。この第一楽章が古来ヴァイオリン習得の通過儀礼になっている。娘らに教える中で、私も弾いた。娘らは二人とも小学生だったが軽々暗譜した。

改めて聞くとよい曲だ。

我が家には下記の通りCDがある。

  1. 1962 I musici/Roberto MIcherucci(3:22)
  2. 1987 I solisti Veneti/Piero Toso(2:58)
  3. 1983 I musici/Pina Carmirelli(3:15)
  4. 1988 I solisti Italiano/Giovanni Guglielmo(3:13)
  5. 1997 Europa Galante/Fabio Biondi(2:26)
  6. 2004 Berliner Philharmoniker/Nigel Kennedy(2:36)
  7. 2014 L'arte dell'arco/Federico Guglielmo(2:40)

楽しい。古来ずっと1番目を聴いてきた。娘らにもずっと聴かせていた。5番目のビオンディは、爽快だ。イムジチ版より1分短い。

 

 

2022年8月10日 (水)

3曲1組

ヴィヴァルディの「調和の霊感」op3の話をする。全12曲を行きがかり上3曲ずつ4セットととらえる。

<1セット>

  • 1番 ニ長調 4つのヴァイオリンとチェロ
  • 2番 ト短調 2つのヴァイオリンとチェロ
  • 3番 ト長調 1つのヴァイオリン

<2セット>

  • 4番 ホ短調 4つのヴァイオリン
  • 5番 イ長調 2つのヴァイオリン
  • 6番 イ短調 1つのヴァイオリン

<3セット>

  • 7番 ヘ長調 4つのヴァイオリンとチェロ
  • 8番 イ短調 2つのヴァイオリン
  • 9番 ニ長調 1つのヴァイオリン

<4セット>

  • 10番 ロ短調 4つのヴァイオリン
  • 11番 二短調 2つのヴァイオリンとチェロ
  • 12番 ホ長調 1つのヴァイオリン

気が付くこと。

  1. 各セットの先頭は、必ず4本のヴァイオリン。全部違う調。
  2. 同じく2番目は2本のヴァイオリン。全部違う調。
  3. 3番目はヴァイオリン一本。全部違う調。
  4. 同一セット内で同じ調性はない。
  5. 同一セット内には長短が必ず含まれる。
  6. 合計すると長短6曲ずつ。
  7. 4セットすべて独奏楽器の組み合わせが違う。

とても偶然とは思えない。

 

 

 

 

2022年8月 9日 (火)

レストロアルモニコ

「L'estro armonico」とつづられるイタリア語で、しばしば「調和の霊感」と訳される。「op3」を背負うヴィヴァルディの出世作。1711年アムステルダムのロジェ社からの出版で様々な独奏楽器による12の協奏曲だ。バッハはこのうちの下記を編曲している。

  • 3番ト長調→チェンバロ独奏BWV978
  • 8番イ短調→オルガン独奏BWV593
  • 9番ニ長調→チェンバロ独奏BWV972
  • 10番ロ短調→4台のチェンバロのための協奏曲BWV1065
  • 11番ニ短調→オルガン独奏BWV596
  • 12番ホ長調→チェンバロ独奏BWV976

かなりな入れ込みようだ。それもそのはずで、この曲集でヴィヴァディの名声は欧州中に広まっていた。当時最先端のイタリア音楽のそのまた最高峰という位置づけは大げさではなかった。現代日本における「四季」の人気もかすむというものだ。

CDで比較するにも楽譜があると便利なのでひとまず入手した。毎度毎度のドーヴァーで4020円はまずます。楽譜を見ながら聴くと、プレイヤーごとのアドリブもわかって参考になる。

2022年8月 8日 (月)

コレルリヴァリエーション

ラフマニノフが1931年に作曲した「コレルリの主題による変奏曲」op42だ。主題はコレルリの「ヴァイオリンソナタ」op5-12というより「ラフォリア」ニ短調だ。古来有名な旋律で、コレルリの作ではないが、最も有名な「ラフォリア」に敬意を表したということなのだろう。

ピアノの名人芸を堪能する作品になっている。

 

 

 

 

2022年8月 7日 (日)

ラフォリアの流行

イベリア半島起源の舞曲「フォリア」が17世紀のイタリアで大流行した痕跡が我が家所有のCDにどれほど残っているのか検証してみた。

  1. 1490 作者不詳の「Folia」
  2. 1520  Juan Di Enzina
  3. 1553 Diego Rodrigez
  4. 1553  Diego Ortiz
  5. 1557  Antonio de Cabezon
  6. 1650  Andrea Falconiero
  7. 1659  Maurizio Cazzati
  8. 1664  Berardo Storace
  9. 1669  Giovanni Antonio Pandorfi
  10. 1671  Francesco Corbetta
  11. 1685  Arcangero Correlli op2
  12. 1700  Arcangero Correlli  op5-12
  13. 1701  Marin Marais
  14. 1705  Antonio Vivaldi op1-12
  15. 1709  Antonio Martin Y Coll

「おお」ってなもんだ。ドイツの作曲家がいない。ヴィヴァルディより200年少々さかのぼるとはイタリアおそるべし。

 

 

2022年8月 6日 (土)

ラフォリア

「ラ」は冠詞だから実態は「フォリア」で「Folia」と綴る。イベリア半島起源の舞曲だ。メヌエットやサラバンドと同じ舞曲の名前なのだが、長い間に短調主体の低音部の定型までも含んで定義されるようになった。「ラフォリアバス」という。

イ短調を例にとると「A→E→A→G→C→G→C→E」だ。

「ラフォリア」と明記されていなくても、ベースラインの進行がこの流れであるなら、聞き手はラフォリアを想起する。ましてや、シャコンヌやパッサカリアの低音進行がラフォリアバスだった場合は実質ラフォリアということになる。短調のシャコンヌやパッサカリアはひとまず疑ってかかるほうがいい。

17世紀イタリアで大流行し、たくさんの作曲家が作品を残している中、コレルリのop5-12がとりわけ名高い。

 

 

2022年8月 5日 (金)

芋づる式

一つのことをキッカケに、関連する事項が次々と明らかになることくらいの意味だ。

ヴィヴァルディと言えば我が国ではバロック音楽を代表する不動の位置づけにある。ところが、バッハ同様長らく忘れられていた作曲家でもある。19世紀後半に訪れたバッハ再興の動きは、バッハ作品の研究面で飛躍的な発展を見せた。バッハは研究熱心で、他の作曲家の作品を編曲することが多かった。そのターゲットの中にヴィヴァルディがいたのだ。バッハルネサンスの展開の中から芋づる式に復活したのがヴィヴァルディという訳だ。「あのバッハがこれほど熱心に編曲しているのだから、さぞ立派な作曲家だったのだろう」というノリかもしれない。

遠い将来。

ブラームス研究を志す人が、ブラームスについて知見を深める活動の中から私の本やブログが芋づる式につり上げられることがあるかもしれない。

いつ釣り上げられても恥ずかしくないように、ピチピチと元気なブラームスネタを発信し続けたい。

2022年8月 4日 (木)

op-RV対照表

ヴィヴァルディの作品整理のために考案されたリオム番号「RV」という体系は、それなりの根拠をもった整合性に貫かれているのだが、慣れるまでが大変だ。ブラームスの作品番号はすべてそらんじている上に、器楽曲に限れば番号を言われれば冒頭旋律を歌うくらいは朝飯前なのに比べて心細い。

 

嘆いてばかりもいられないので、とりあえず「op」と略記される作品番号と、「RV」と略記されるリオム番号の対照表を作ってみた。

 

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最大の収穫は作るのが楽しかったことだ。御覧の通りだ。例えば「調和の霊感」op3-9ニ長調は「RV番号なら「230」だと一目でわかる。

 

栄えある「RV1」はop2-6のヴァイオリンと通奏低音のためのソナタだ。編成の薄い順になっているリオム番号の体系では、ヴァイオリンと通奏低音の二重奏が先頭に来る。そして調性順はハ長調からなのでハ長調ソナタop2-6が「RV1」となる。

2022年8月 3日 (水)

リオムさんのご事情

ヴィヴァルディの作品目録番号「RV」は今や、完全に定着している。編成の薄いジャンルから厚いジャンルに分け、さらそれが調性をキーに並べてある。完全に機械的だから、「もれなく」という網羅性が売りである。慣れるしかないと修行中である。

 

慣れるにしてもとっかかりがほしいところで、ある疑問がわいた。

 

たとえばニ長調のヴァイオリン協奏曲を例にとる。RV203からRV242までがこれ該当する。「1本のヴァイオリンを独奏楽器とし、第一楽章がニ長調の協奏曲」が、未完も含むとはいえ、32曲あるということだ。

 

ブラームス唯一のヴァイオリン協奏曲はニ長調。ベートーヴェンもチャイコフスキーも同様だ。なのにヴィヴァルディにはニ長調のヴァイオリン協奏曲が32曲あることに眩暈を覚えるのだが、これこそがバロックだとわかりかけてもいる。

 

大好きのな「調和の霊感」op3-9はニ長調だ。これはRV230だ。ニ長調ヴァイオリン協奏曲の28番目にあたる。

 

疑問とはここだ。同じニ長調ヴァイオリン協奏曲32曲の中の順序はどのように決めたのだろう。出版順ないし作曲順とは考えにくい。

2022年8月 2日 (火)

リオム番号

ヴィヴァルディ作品の末尾の付記されることが多い整理番号で、「RV」と略記される。

中学校で習った「四季」はop8だった。「調和の霊感」はop3だった。ブラームスやベートーヴェンに親しんでいると「op」になじみが深いが、これは作品が生前に出版されていないとたちまち行き詰まる。ヴィヴァルディのop番号の最大値は「14」なのだが、未出版や未発見の作品が大量に存在する作曲家や、個々の作品の作曲時期不明が多い場合には機能しない。

バッハも事情は似ていてだからBWV番号は作曲や出版の順序とは関係がない。ヴィヴァルディのリオム番号も同様の事情を抱えている。リオム番号の発番はヴィヴァルディ全作品をジャンルを第一キーとし、第二キーに調性を用いて機械的に割り振った代物だ。後からの発見作品にはRV743以降の番号が当てられている。

リオム番号は網羅性が売りで、現在では広く受け入れられているのだが、私のような素人には慣れも必要だ。協奏曲集「四季」がop8-1から4という明確さは犠牲になる。どれもヴァイオリン協奏曲の扱いなのだが、調性でソートした結果こうなる。連番にならない。

ニ長調のヴァイオリン協奏曲だけで10曲以上あるから、ジャンル名と調性だけで不自由なく個体識別が出来てしまうブラームスとは大きく事情が異なる。

愛好家として悩ましいのは、高い頻度で素晴らしい作品があることだ。

 

 

 

 

 

 

2022年8月 1日 (月)

出版の意味

ブラームスの作品出版は、本人が関与していた。ブラームスが出版用の原稿を出版社に渡す順番に番号が付与され、それをブラームス本人が管理していたと目される。原稿を渡したのちに何らかの事情で、順序の逆転がおきることがまれに発生したが、網羅性という観点からは問題はない。作品番号順がほぼ出版順になっていると考えていい。

ところがバロック時代はとなると状況が一変する。

「出版」は作曲家が自作を世に問うための一手段に過ぎない。当時の作品演奏の場は、王侯貴族の館、オペラハウス、教会、コレギウムムジクムとに大別できる。演奏に際しては出版譜ではなく手書きの筆者譜で事足りる。ブラームスの時代は音楽の受け手が担い手が市民になったから出版こそがポイントになるのだが、バロック時代は違った。

ヴィヴァルディの作品は、未発見のものもあると見込んで800とも1000とも言われているが、作品番号を持っているのはそのうちの114作に過ぎないし、声楽作品は全滅だ。

ヴィヴァルディ作品の出版は下記の通りだ。

  • op1 1705年
  • op2 1709年
  • op3 1712年
  • op4 1712年
  • op5 1716年
  • op6 1716年
  • op7 1716年
  • op8 1725年
  • op9 1727年
  • op10 1729年
  • op11 1729年
  • op12 1729年
  • op13 1737年
  • op14 1740年

ヴィヴァルディの生年は1678年、没年は1741年ということを頭に入れて上記のリストを見る。op1は27歳、op14は62歳だ。35年にわたる出版生活だが、網羅性という意味でははなはだ心細い。そのうえop13とop14は本人が出版に関与していない疑いまであるらしい。

それなりに様式の変遷は見てとれるから、定点観測のツール程度には役立つが、作品番号付きの作品だけを分析したところで大した結論にはならない。

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