ソロの互換性
コンチェルトの独奏楽器は、作品のタイトルの中に痕跡を落とす。「ヴァイオリンのための協奏曲」という具合だ。縮めて「ヴァイオリン協奏曲」となる。「楽器名+協奏曲」で、その作品における独奏楽器を手短かに明示する便利な機能だ。
ところが、ヴィヴァルディには奇妙な実例が散見される。op7は「ヴァイオリンまたはオーボエのための協奏曲」である。op8の9番も12番も独奏楽器はヴァイオリンでもオーボエでもいいことになっている。まだある。op9-3「ラチェトラ」の3番はヴァイオリン協奏曲なのだがop11-6では同じ曲がオーボエ協奏曲となって出現する。
ヴァイオリン協奏曲に極端な高音域を求めていないことと、重音奏法が現れないこともあって、いつでもオーボエで代替可能なコンチェルトが少なくない。ダブルストップ、フラジオ、ピチカート、高速アルペジオ、スピッカートてんこ盛りとなるともはやオーボエでは無理なのだが、ヴァイオリン協奏曲とオーボエ協奏曲の間、相互乗り入れが実現している。
古典派以降のコンチェルトではあり得ぬ現象だ。
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