見るまで信じない
ヴィヴァルディにはまっている。四季や調和の霊感以外にもいろいろとCDを入手している。
「ヴァイオリン、オーボエ、シャリュモーと3つのヴィオールのための協奏曲変ロ長調RV579」という作品がある「Funebre」という愛称がついている。「葬送」という意味なのだが、それなのに変ロ長調というのが面白い。
シャリュモーとはクラリネットの前身となった管楽器だなどと感心していたら、第2楽章の発想用語を見て言葉を失なった。
「Allegro poco poco」「アレグロポコポコ」と口に出してみてほしい。
もはや日本語訳不能だ。ブラームスには一か所も用例がない。「緩急緩急」の4楽章制の第2楽章だから「急」のはずなのだが、単なる「Allegro」ではない。「poco」が1個ならなんとなく飲み込める。ブラームスにだって「Poco allegro」や「Poco allegretto」があるからだ。
ブラームスと違ってネイティヴなイタリア語の使い手だったヴィヴァルディが用いたのだから、荒唐無稽な用法ではあるまいが、CDの解説書上で見ただけではにわかに信じにくい。楽譜に書かれているのを見るまでは。
CDを聴いた感じだけで申すと遅めのアレグロという感じなのだが、この程度の緩さはほかにもあるのになぜこの楽章だけが「ポコポコ」なのだか判然としない。
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