合宿の夜
「調和の霊感」op3-9の話題だ。ヴァイオリンのための協奏曲ニ長調である。
1978年8月30日の夜。大学1年、大学オケの夏合宿恒例の室内楽演奏会の出来事だ。北軽井沢の合宿所のホールで、2コ上の先輩がヴィヴァルディのこのコンチェルトを仲間をバックに弾いた。
激しい雨が屋根にあたる轟音の中、それはそれは清らかな演奏だった。当時初心者で始めたヴィオラがものになるかどうかもわからぬ段階で、途方に暮れていた。夏合宿も明日で打ち上げというときに聞いたこの演奏が心にしみた。とりわけ第二楽章のピュアな旋律は長くあこがれとなった。自分はヴィオラであるにもかかわらず、いつかこういう曲が弾きたいと心から思えた。中学時代から継続中のベートーヴェンラブの真っただ中、ヴィヴァルディと言えば中学の清掃時間のBGMだった四季しか知らない偏った価値観に差し込んだ光。まだブラームスへの傾倒は始まっていなかった。
あれから44年。
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