大胆なマーケティング
ワールドカップカタール大会まで2か月のこのタイミングで日本代表の強化試合が組まれた。23日と27日だ。某大手ビール会社は、長くサッカー日本代表を後援しているからスポンサー名を冠した大会になる。今回の会場は2試合ともドイツ・デュッセルドルフである。勝者にはカップのほかに副賞が贈られる。これが同社のビール一年分だと誇らしげだ。国内の開催であれば気にも留めていなかったのだが、ドイツ開催でもビール1年分が賞品だと聞いてのけぞった。
デュッセルドルフと言えば特産のアルトビールが名高い。後から現れて市場を席捲した下面発酵ビールに対して古い製法を守っているという意味でドイツ語「Alt」が冠される。これにとどまらずドイツは周知の通りビール王国だ。ナショナルブランドに背を向け地ビール志向が強い。上位10社集めてもマーケットシェアは50%に届かないはずだ。おまけにドイツでは日本やアメリカでは一般的な米やコーンスターチなど副原料の使用は固く禁じられている。「ラガー」の意味も日本とは大違いでもある。同地の「アルトビール」は日本での通念と違って「ラガー」の反対概念だ。よりによってそのおひざ元の大会でかつてラガーを主力品ともしていた会社が副賞にビール1年分とは、いろいろと心配になる。
本場ドイツの地で勝利を収めたチームに、日本のビール1年分を副賞として贈呈することがマーケティング上プラスだというゆるぎない自信。アメリカとエクアドル相手に1勝1分けは悪くないが、副賞が気になって仕方がない。
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