万葉集贈与
1204年に「新古今和歌集」、1208年に「古今和歌集」という具合に実朝は京都から勅撰和歌集の写本を入手した。これに次いで1213年定家は「万葉集」の一部の写本を実朝に贈呈する。定家自筆とも言われている。万葉集は勅撰和歌集ではないものの最古の歌集の座に君臨する。実朝がこれを受け取ったのが11月23日だ。
おそらくはこれに対する返礼なのだろう。実朝は定家に「金槐和歌集」を贈呈する。12月18日だ。同贈呈本の奥書の日付が健保元年12月18日とある。このとき実朝22歳。つまりここに収載された663首は22歳までに歌われたとわかる。貴重な写本や歌論書を惜しみなく授ける定家の恩に報いんと、ここまでの作品を私歌集の体裁にまとめて贈呈したということだ。実朝自撰とする説が学会の主流だという。
定家は喜んだ。と思いたい。その証拠に同本は「定家初伝本」として現代に伝わる。定家が大切に扱った証拠だ。後世の勅撰和歌集の撰者たちが参照したことは確実だ。
何という子弟の絆だろう。
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