身に積もる
身に積もる罪やいかなる罪ならむ今日降る雪とともに消ななむ SWV346
降る雪は積もる。そしてやがては解けて消える。自分の身に積もった罪も、雪と同じように消えて無くなればいいのにという節回しだ。しかしその罪の詳細を実朝自身が測りかねてもいる。人間どうせ大なり小なり罪を重ねているものだという諦めと覚悟。罪は重ねていることが前提とも読める。達観というにはしのびない。
紀貫之「年のうちに積もれる罪はかきくらし降る白雪とともに消えなむ」の本歌取りとされている。元歌にあった「白」を削除して、「罪」を重複させているせいか、実朝の方が重苦しいと感じる。もしかすると後ろめたさや思い当たる節があったのかもしれぬ。
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