雪深き
雪ふかき深山の嵐冴えさえて生駒の岳に霰降るなり SWV336
SWV333から335まで定家、慈円、九条良経へのオマージュが連続した。案の定これもまた「冬深み外山の嵐冴えさえて裾野の柾霰降るなり」の本歌取りであった。第三句と結句が共通する。元歌にない地名の特定が目立つ。もちろん実朝は生駒に出向いたことはない。「霰降る」が描写の焦点。万葉時代の防人の歌には「鹿島の神」の枕詞になっている。鹿島の神は戦の神だから、防人の歌への登場は自然だし武士からの信仰が厚い。実朝はどうも「霰」が好きだ。一つ前のSWV335でも霰を降らせたばかりだ。東国鎌倉に住む征夷大将軍が詠めばそれなりの説得力となる。
そうそうこの度の元歌の作者は後鳥羽院だ。
「続後拾遺和歌集」に採用されている。
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