あけぼのの空
見渡せば雲居はるかに雪白し富士の高嶺のあけぼのの空 SWV334
一昨日のSWV333は師匠定家へのオマージュであった。間違える余地のない明白なケースだった。本日もまたオマージュなのかと思うけれどかなり無理目。対象は慈円。小倉百人一首では「前大僧正慈円」とされて「おほけなく憂き世の民に思ふかな我が立つ杣に墨染の袖」が採用されている。私的歌人大好きランキングの第4位に定家を差し置いて食い込んでいる。本日のSWV334が慈円へのオマージュではないかと思い詰めるのは、慈円による「天の原富士の煙の春の色の霞に靡くあけぼのの空」を思い起こすからだ。結句だけの一致をもってワンチャンありかと思うだけではない。第三句「雲白し」が決め手だ。慈円の中で一番気に入っている「眺むれば我が山の端の雲白し都の人よあはれとも見よ」と一致するからだ。比叡山を「我が山」と断言する気迫は下手な武士顔負けだ。よって合わせ技で慈円認定する。
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