水たまる
水たまる池の堤のさし柳この春雨に萌え出でにけり SWV025
実朝テイストの根幹とも目される万葉調のほとばしり。「池」の枕詞に「水たまる」と据えることに加え、4句の「この春雨に」という言い回しも万葉時代に好まれたものだ。桜や梅よりはややマイナーな素材「柳」をさらりとLeggiero気味に流す感じ。
石ばしる垂水の上のさ蕨の萌え出ずる春になりにけるかも 志貴皇子
私の和歌史では、百人一首に続く万葉集ステージの扉を開けた、志貴皇子のこのお歌を思い出す。「の」を3つ連ねて生み出されるリズミカルな調子。その描写の焦点は「萌え出」にあるという構造。「本歌取り」とまでは、のしかからぬ、暗黙の呼応かとも。
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